【現像&レタッチ】影の色って何色?

・現像&レタッチ

 

こんにちは!Nagi(@nagi_phot0)です。

 

”影の色って何色?”

 

きっと、Lightroomにカラーグラデーションが実装されて、

写真のトレンドにおいても実際の色より自分色を作り出す、グラフィックアートの面が強くなっているように感じて、

現像を勉強していくにつれて、だんだんその疑問は私の中で強くなっていきました。

 

・青を入れるといい感じになる。

・黄緑を入れるとレトロっぽくなる。

って言われているけど、それはなんで?と思いながらも、

調べても出てこないので、疑問に思いつつそのように現像していました。

 

ところが最近、アニメーション背景を描いている後藤太郎様という方が書いているnoteで面白いものを見つけました。

 

これによると環境光が白色の場合、

”影色は光源色の補色になる”

そうです。

 

今回は、写真表現における影色について、季節や撮影時間帯の異なる6枚の写真で検証してみようと思います。

 

 

 

影色に乗せる色について

 

”影色は光源色の補色になる”

 

この事象を元に、影に乗せる色を選定しようとしましたが、

そもそも、この補色についてはどの表色系を利用するかで変わってきてしまいます。

 

補色(色相が反対の色)は、2種類存在します。

心理補色と物理補色です。

大体漢字の通りの意味なのですが、この話を始めると長くなってしまうので、割愛します。

結論だけ言うと、例えば『赤の心理補色は緑、物理補色はシアン』です。

 

一般的に、補色と言われれば心理補色を思い浮かべる方が多いと思います。

が、今回は光と影の関係性の話なので、物理補色の考え方で作られた表色系を元にしようと思います。

 

物理補色の表式系はいくつかありますが、ライトルームのカラーグレーディングでも使われている、HLS色空間を利用しようと考えました。

しかし、HLS色空間には色相環(色相を環状に配置し、色を体系化してわかりやすくしたもの)がありません。

なので、わかりやすいようにHLS色空間を参考に12色をCMYKにて等間隔に配置した色相環を作成しました。

 

 

この色相環の対角に位置する色が物理補色です。

赤・青・緑が光の三原色

シアン・マゼンタ・イエローが色材の三原色

三原色について、こちらのサイトが物理的に詳しく説明されていたので、興味がある方は読んでみて下さい。

 

また、環境光が白色の場合に影色が補色となるそうですが、

風景写真で、環境光が白色になることはほぼありません。

(例えば屋外で、光源色は太陽の色・環境光色は空の色)

環境光がある場合は、影の色は環境光色にも染まるそうです。

しかし、カラー写真の場合すでに写真内に影色があるので、影の色は光源色と環境色に染まった実際の色に近い影の色ではあると思います。

今回は、レタッチのよりその場の空気感を演出するということで、光源色に着目しようと思います。

 

 

 

影の範囲と色の乗せ方について

 

疑問の始まりは、Lightroomのカラーグラデーションでしたが、それだとシャドウの適用範囲が曖昧です。

 

なので、Photoshopの輝度マスクを利用して、影の範囲を決めることにしました。

 

また、12色全ての色を試していると大ボリュームになってしまうので、

・私の目には太陽光色に見える”橙”・”黄”とそれの補色関係の”青”・”濃青”

・写真現像において、よく乗せると良い色と挙がる”黄緑”

・アニメーターの為のネット記事を見ていると、晴天表現に使うと良いと言われている”紫”

上記6色を今回は見比べてみようと思います。

 

 

 

 

使用する写真については、全てNikon Z 6II +NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRでRAW撮影。

 

1. LightroomでAdobeカラーにて軽くコントラストを強める現像をして、

 

2. Photoshopのトーンカーブを使用して色被りを除去

(風景写真において色被り除去は必須とは思っていませんが、影色に集中する為に今回は丁寧に除去しました)

 

3. 輝度マスクで、シャドウ3を範囲指定

 

4. ベタ塗りで色を載せました。

 

5. レイヤーの種類は通常、不透明度は15%で固定しています。

 

 

 

 

 

色被り除去

 

シャドウ適用範囲

 

 

 

 

 

 

 

霧が出ている中、反逆光くらいの位置から太陽が出た時の写真です。

朝焼けの色は、記憶では焼けすぎず程よく焼けて…オレンジ味の黄色くらいな印象です。

シャドウの色を見ていると、⑤の色が自然に近いのかな?と思いました。

また、実際の印象とは違うけど、朝焼け感を演出するために、①も嫌じゃないと感じました。

完全な逆光ではなく、反逆光でそこまで影の範囲が大きくないのと、木が既にオレンジっぽい為、①でも変じゃないのかな?と考えます。

 

 

 

B

 

 

色被り除去

 

シャドウ適用範囲

 

 

 

 

 

 

 

だいぶ太陽が上に上がってから、薄曇ったり晴れたりが交互に繰り返されているときの写真です。

太陽が上がっている時は、確かに⑥(紫)が自然だな、と感じました。

太陽光が上がりきると光源色よりも環境色に左右されやすいのでしょうか?

ただ⑤も嫌じゃないので、実際に現像するときは⑤と⑥の色の間でも良いのかな?と、思います。

こうして並べると、③がフィルムっぽさ出ている?と少し感じます。

 

 

 

C

 

 

色被り除去

 

シャドウ適用範囲

 

 

 

 

 

 

 

真昼間の写真です。

どれも完全に自然とは感じないけど、強いていうなら⑥が自然と感じます。

昼の写真であるBに引き続き、Cでも紫を選択しています。

ただ、⑥の色よりも赤みに振った方が自然なのかな?と思います。

全体的に茶色が強い写真だから、反射光や物理色に影響されやすいのかな?と、考えます。

 

 

 

D

 

 

色被り除去

 

シャドウ適用範囲

 

 

 

 

 

 

 

黄色に近いオレンジの朝日がほぼ順光で当たっている時の写真です。

どの色が自然かって考えると、④か⑤か迷います。

光源色の補色が影として自然な色というのは、今のところ当たっていそうです。

ただ、写真表現として⑥も好きだし不自然じゃないと思います。

 

 

 

E

 

 

色被り除去

 

シャドウ適用範囲

 

 

 

 

 

 

 

朝日が出た時、逆光の写真です。

光源の色は黄色でした。

写真に色を載せてみて、何色を選ぶかって考えると私は⑤です。

光源がしっかり入っている写真で見比べると、光源色が影の色に入っていると不自然に感じるのがよりわかります。

 

 

 

F

 

 

色被り除去

 

シャドウ適用範囲

 

 

 

 

 

 

 

朝焼け終了後、そこまで太陽が高くには上がっていない時の写真です。

選ぶなら、⑤か⑥かな?と思います。

太陽が上がってくると、やっぱり影の色が紫に近くなるのも合っているのかもしれません。

実際、日中の太陽の色は何色なんだろう(個人的には白に感じる)と思いますが…

朝日の撮影時にホワイトバランスを昼光に設定すると、オートホワイトバランスに比べてマゼンタに振られがちなので(カメラの機種にもよるかと思いますが)、もしかしたら日中の太陽光は緑寄りなのかもしれません。

もしくは、太陽の色は黄色だけの空の色(環境光)の影響が強いのでしょうか?

 

 

 

まとめ

 

色々な風景写真の影に色を載せて、どれが自然に見えるのか考えてみましたが、アニメだけでなく写真においても光源色の補色を影色に載せるというのは、自然な表現として使えそうです。

 

光源色の補色を基準として、その写真の反射光や物理色・環境光色を考慮し、それから自分色にするためにはどうカラーグレーディングするのか?

 

影色選定の軸が自分の中で決まっていると、今まで悩んでいた影色で悩むことは少なくなりそうです。

 

フィルム調になると言われている黄緑色に関しては、フィルムと言うよりはカラーネガフィルムFUJICOLORで撮った色に近いのかな?と思いました。

 

フィルムとして、当時一番普及していて目にしていたであろうフジカラーの色(シャドウが緑っぽくなりがち)っぽくなることが、黄緑色がシャドウに入るとレトロでフィルムっぽく感じる理由なのかもしれません。

 

人によっては、自分の作風を統一する為にシャドウやハイライトの色を決めている方も多いと思います。

 

そんな人のギャラリーは見ていて統一感が気持ちよく、個人的にとても好きです。

 

ただ、私のブログテーマは”グルメと温泉を楽しむついでに絶景”

 

ブログ内では、ご飯の写真と風景写真が組写真になれるような、雑誌『大人の週末』のようなレタッチを心がけています。

 

その中で、一番重要だと考えているのは自然な絶景写真。

 

これからも、自然で身近に感じるけど絶景な風景写真を目指して模索していきたいです。